第12回『いざパリ航空ショーへ』

2011年6月27日 三代目奮闘記

いざパリ航空ショーへ 2011_06_27

6月20-26日に開催されるパリ航空ショーのため、パリのビジネスホテルに泊まり、開催前日にこの原稿を書いている。掲載されるころには全日程が終了、次週の記事にショーでの収穫を書いているだろう。

 

パリ航空ショーは世界最大規模の航空機関連展示会で、今回で49回目を迎える。パリ市内に最も近いルブルジェ空港をまるごと使い、世界中から13万8000人のビジネス来場者、19万3000人の一般来場者、2000社以上の出展者、140機以上の飛行機が集まり、飛行のデモンストレーションが毎日行われる。

 

この展示会への出展は、由紀精密の夢の一つであった。出展のきっかけは、ある中小製造業の社長との食事中の会話である。ジェットエンジンの中でもとても主要な部品を作っている尊敬すべき会社の社長と「お互い次に開催されるパリ航空ショーに必ず出展しましょう」と約束した。ノリで決めた訳ではない。お互いの目指すところに共通点を見いだし、ここで夢を現実の行動プランに移したということだ。

 

そこから先は早かった。世界最大、パリ、航空機、というだけで躊躇(ちゅうちょ)してしまうところだが、出展までの手続きはあっけなかった。ウェブサイトから申し込みフォームをダウンロードし、そこに記載されている金額を所定の口座に振りこんで、その証明書と一緒に申し込みフォームを郵送するだけである。いろいろ心配はしたが何の問題もなく、領収書と受け付けの通知が届き、無事出展のチケットを手に入れることができた。日本の展示会出展のプロセスと何ら変わらない。違うのは申し込みフォームが英語で、通貨がユーロであることくらいだ。

 

ただ、そこが日本の中小企業には障害になっていることが多い。えらそうに書いているこの私も英語に堪能な訳ではない。社員のなかに小・中学校と米国育ちの優秀なエンジニアがいたのがラッキーだった。今回の出展は夢の実現であり、思い切って希望する社員には全員来てもらうことにした。結果として、社員のおおよそ半数がパリに来ることになった。大変喜ばしいが、6月後半の稼ぎ時に大幅な出力減になることは容易に想像できた。

 

しかし、驚くべき誤算が起きた。展示会に出発する前日の17日までの売り上げが、従来の1カ月の売り上げとほぼ同等までいってしまった。このままなら6月の売り上げは過去最高を記録してしまう。一体どうなっているのか? 受注が多いという幸運も確かにあったが、生産の出力減よりも、社員のモチベーションアップを選択した今回の決断が、確実に効果を出したということだろう。

 

いよいよ明日から、世界中のお客さまに由紀精密の技術を知ってもらう1週間が始まる。

20110627

(日刊工業新聞 2011年6月27日付オピニオン面に掲載)

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