第29回『ものづくり教育』

2011年11月21日 三代目奮闘記

ものづくり教育 2011_11_21

地元の小学校の先生から、工場見学の依頼があった。30人ほどの先生方が由紀精密、ダイショウ、シンクフォー、相田製作所と、同じ工業団地にある町工場4社を見学した。会社の概要説明では、普段は教壇に立っている先生方に生徒側に座ってもらい、4社順番にプレゼンを行った。みなさんとても興味深く聞いてくださった。今日は生徒の気分を味わってもらおうと思い、何点か質問を投げかけた。人工衛星はどうやって動いているか知っていますか?宇宙で自分の位置はどうやって知るのでしょう?さまざまな答えが帰ってきて盛り上がった。

 

次の質問。1ミクロン(1マイクロメートル)は1ミリメートルの何分の一でしょう?これはちょっと簡単すぎたかな?と思ったが、手が上がらない。私たちは毎日のように接している単位だけに、驚いた。次の質問。理系出身の先生はいますか?一つも手は上がらなかった。なるほど。小学校の先生は教育学部卒が多く、すなわち文系の教育を受けてきていることになる。確かに、エンジニアリングの勉強をしてきた人が小学校の先生になっているという話は聞いたことがない。小学生の教育カリキュラムにミクロンの単位が出てこないので、わからないのも当然ということか。

 

私は納得すると同時にとても心配な気持ちが込み上げてきた。日本は技術で世界に誇れる国だと思っている。しかし、その日本の教育で、もっとも多感でスポンジのように物事を吸収できる小学生の時期に、教えてくれる先生のほとんどが文系出身でよいのだろうか? 他の国の教育はどうなっているのだろう? 勉強はその勉強が役に立つフィールドを知ることで初めて身に付くと思っている。特に、社会人になってから痛感する。実は、小学生でならう算数でも、エンジニアの世界では大変重要な要素が詰まっている。

 

さて、それではどうすればよいか? もちろん、小学校の教育制度が大改革されて、エンジニア出身の先生が増えることも望ましいかもしれないが、これはすぐには難しい。まず、子供を持つお父さん、お母さんは、自分の子供に積極的に今の勉強とそれが生かされているフィールドのつながりを根気よく教えてあげるとよいだろう。どうして人工衛星は落ちないの?フラフープが落ちないことと似ているかもね。どのくらい回せばフラフープは落ちないの? 地球の重力に勝てばいいのかな。かけ算と割り算ができるようになれば組み合わせて計算できるよ。ほら!

 

今度の週末は、茅ヶ崎市周辺の小学校の校長先生が集まる会で講演することになっている。是非、小学生時代からものづくりに興味を持ってもらえるようなカリキュラムを取り入れることを提案したい。我々中小製造業もできるだけ協力していこうではないか。

20111121

(日刊工業新聞 11月21日付オピニオン面に掲載)

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