第54回『20%成長に表れた「進化」』

2012年6月25日 三代目奮闘記

20%成長に表れた「進化」 2012_06_25

先月、5月として過去最高、単月としては過去2番目の売り上げを記録した。大型案件が重なったこともあるが、連休で営業日が少ない5月での快挙だ。由紀精密は9月決算なので、今期はあと4カ月。このまま順調に行けば前年度比で20%以上の成長となる。

 

中小企業の経営はジェットコースターに乗っているようだと言われる。坂を上ったかと思うと急降下。暗闇を走る。軌道は見えないのでどこまで落ちていくか分からない。同様にどこが頂上か分からない。自分はジェットコースターは苦手だ。走らされている感じに拒否反応が出る。同じ上り坂でも下り坂でも自分で運転する車で走りたい。たとえ下ると分かっていても自分で速度をコントロールしたい。

 

由紀精密に転職した6年前は暗闇のジェットコースター状態だった。世の中の景気や客先の製品の売れ行きで、自社の売り上げが完全に決まってしまう。どこでたたき落とされるか分からない。  その状況を打開するための対策が、ようやく実を結んできた。一番大きかったのは他業界への事業展開だ。電機業界が主だった客先を航空宇宙・医療・自動車開発と幅広く展開した。それに伴って顧客数はどんどん増えてきた。

 

しかしリスク分散に直結するこの対策も、デメリットの方が先に出た。慣れない仕事にシフトしていくことで稼働率が低下し、利益率も落ちる。顧客が増えることで管理工数が増加し、管理部門に負担がかかる。そうなると忙しい割に売り上げは上がらない。

 

転機はリーマン・ショックだったと今になって思う。不況に左右されない体制を目指して改善してきた。その効果がこんなに早く表れるとは思ってもみなかった。リーマン・ショックの時に新規の仕事を確保した分、その後、売り上げ増加は加速した。会社の体制も新しい分野の仕事に慣れてきた。導入する設備は従来の量産品向けよりも、単品で難しいものの加工に向いたものへとシフトさせている。

 

開発のトレンドに合わせて、常に会社を進化させて行けたら、どんなことがあっても潰れない会社に近づいていけるだろう。進化させること自体を会社の通常の流れに組み込めればなお良い。難題は多く残されているが、社員の変化に適合する能力もモチベーションも高い。  過去を捨て新しくするのではなく、過去の技術を発展させ、時代に適合させる。チェンジではなくアダプト。そのためには世間の変化を敏感に感じ取るアンテナも重要である。

20120625

(日刊工業新聞 6月18日付オピニオン面に掲載)

Next » « Prev