第69回『パリ・MIDEST出展』

2012年10月29日 三代目奮闘記

パリ・MIDEST出展 2012_10_29

あっという間に10月が終わってしまう。毎回のことだが、日々の業務の忙しさでまだまだ先と思っていた展示会が目前に迫る。11月6―9日までフランスのパリで開かれるMIDESTは、欧州を中心に世界中の部品加工関連の企業が集まる。部品加工業者にとって世界最大級の展示会であり、ぜひ出展したい展示会の一つだった。世界中から企業が集まる割に日本での知名度は低く、日本からの参加は今回はわれわれだけである。

 

由紀精密にとって昨年と今年の米国MD&M(医療機器関連の展示会)、昨年のパリ航空ショー(世界最大規模の航空宇宙業界の展示会)に続き、これが4回目の海外出展だ。今回海外では初の試みとして、茅ケ崎市で企業連携を組むCmonoC(茅ケ崎ものづくりクラスター)の3社、シンクフォー、ダイショウ、永井機械製作所と共同で参加する。由紀精密を欧州の窓口として、国内の連携で幅広いニーズに対応できるようにすることが狙いである。

 

出展に際して、最強の布陣を敷いた。由紀精密からは筆者のほかに、10年近く米国在住経験のある上野雅弘、スイスと米国に合計10年以上の在住経験のある畑中元秀、パリに10年住んでいる串間希世、シンクフォーからは山下祐社長、エンジニアの小林武史氏というメンバーだ。

 

日本人が不得意とする英語とフランス語でのコミュニケーションは全く問題がなく、技術的にも設計から金属加工、金型とかなりの領域をカバーできる。こんなに小さな町工場にこれだけの人財が集まってくれたものだ、とつくづく思う。逆に言うと、これだけのメンバーが2週間近く会社を空けることになる。日本に残る他の社員には、とても苦しい期間になることは間違いない。

 

また、経済的に決して余裕があるわけではないが、今回の展示会は国や県の金銭的な支援に頼っていない。茅ケ崎商工会議所からありがたい応援金をいただいたが、それ以外は自腹である。零細中小企業にとっては小さい金額ではない。

 

われわれにとっての海外展示会出展は、夢の話ではなく、あくまでも現実。欧州の空気を味わいたいわけではなく、まさに明日の仕事を取って来るためのものだ。同じような思いを持つ同士が国内には大勢いる。そういった企業経営者と海外の展示会で顔を合わせ、今後のことを真剣に語り合うのも楽しみの一つである。

 

こうして、会社の生き残りを賭けた本気の取り組みが、小さくても着実な実績として残ったら、他の実力のある国内中小製造業の本気度がグンと上がることを期待している。日本以外のアジア諸国に技術で勝っても気持ちで負ける、ということがないように、パリを舞台に最大限にアピールしてきたい。

20121029

(日刊工業新聞 10月29日付オピニオン面に掲載)

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