第76回『BtoCビジネス』

2013年1月7日 三代目奮闘記

BtoCビジネス 2013_01_07

2013年に突入した。昨年10―12月期はかなり厳しい状況だった。リーマン・ショック時のように、急激に仕事がなくなる状況とは違うが、由紀精密の主力である電子機器向けの製品出荷が減少し、売り上げのベースとなるリピート製品が減った。この傾向はずっと続いているとはいえ、単発の開発と試作製品だけで回していくのは非常に辛い。

 

由紀精密の事業を大きく三つに分け(1)電子機器向け精密部品のリピート量産品(2)旅客機と防衛装備品、医療機器などの高付加価値リピート少量生産品(3)単発受注の試作・開発品―としてみよう。元々は(1)が売り上げのほとんどだったが、6年前から(2)と(3)に力を入れ、現在は(1)(2)(3)の比率は3対3対4くらいである。

 

(1)の減少は止まらない。量産品の単価は落ち続け、国内の生産量自体が減っている。その代わりを(2)で埋めようと、さまざまな取り組みを続けているが、こちらは受注に結びつくまでに長い期間を要するものが多い。そこで由紀精密の開発力を生かし(3)の試作・開発品の受注を伸ばしている。こちらは単発での利益は出るが、非常に工数をとるものが多く、由紀精密の中で誰でも対応できるものでもないので、ある程度のところで頭打ちになる。

 

理想は(2)の分野で売り上げの大部分をカバーし、(3)で技術力向上を目的にチャレンジを続けられる体制だ。昨年末には(2)の分野を伸ばすことにつながる良い出来事があった。旅客機の量産部品受注を大きく伸ばす可能性のある商談のうちの二つが、サプライヤー認証のステップにまで進んできたこと、その基本となる品質を示す航空宇宙品質規格(JISQ9100)の定期審査を非常に良い結果でクリアしたこと、さらには医療分野においても、開発に関わる製品が試作段階に突入し、今年はそれなりの試作ボリュームが確保できそうなことである。(2)の分野は商談スタートから受注まで、数カ月から数年かかるが、すぐに売り上げにつながらないからといって諦めない忍耐力が必要だ。

 

ここまではBtoB(企業間)の話をしてきたが、実は昨年から急速に売り上げを伸ばしているのが、BtoC(対消費者)ビジネスである。伸びているといっても、全社でみればやっと2%程度であるが、この2%はまさに自分たちで作り出した製品の売り上げであり、うれしい。

 

現在、東急ハンズ名古屋店と西武百貨店渋谷店で、由紀精密で作ったSEIMITSU COMAシリーズを購入できる。ウェブ販売のみと考えていたが、実際に多くのお客さまの声もあり、百貨店での販売に踏み切った。実際に店舗のショーケースに自社製品が並んでいるところをみると感慨深い。今年はこの分野でも勝負の年になる。楽しみだ。

 

 

20130107(日刊工業新聞 1月7日付オピニオン面に掲載)

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