第80回『コマ大戦連覇へ』

2013年2月4日 三代目奮闘記

コマ大戦連覇へ 2013_02_04

7日にパシフィコ横浜で全日本製造業コマ大戦全国大会が行われる。七つの地方予選を勝ち抜いた14チームと、敗者復活で勝ち残った1チーム、そして前回優勝の由紀精密の合わせて16チームが出場する。

 

昨年の第1回大会は、どんなコマが強いのか、暗中模索の中集まった21チームの個性的なコマでバトルが繰り広げられた。ルールは単純。直径25センチメートルのおわん形になっている土俵の上に、片手の指を使ってコマを回し投げ込む。先に倒れたり、土俵の外に出たりした方が負けだ。土俵上のコマは重力によって真ん中に寄せられ、ぶつかり合う。

 

由紀精密の作戦は、とにかくぶつかった時に相手よりも強いこと。単体で長く回ることよりも相手に負けないパワーを求めて重く作った。もちろん、精度良く、実験も繰り返し、各寸法も細かく練っていた。この作戦が功を奏し、優勝できた。

 

この第1回大会と今回では、まったくレベルが異なる。全国の約200の製造業が過去の大会を分析して必勝法を検討し、その中で勝ち上がった15チームが相手だ。同じ作戦は使えない。  理論的に間違いなく勝てるコマを作りたいとの思いで何パターンものコマを考え、実験を繰り返した。同時に各地方大会の情報が入ってきて、考えたアイデアが次々に潰れていく。当初、やれることがない、あとは運だ、という考えに入り込むことがあったが、直径2センチメートルのコマの中にはまだまだやることが残っているはずだ。しかし、どの手法をとっても弱点はある。その弱点を突かれてしまう相手と当たってしまったら運が悪い。

 

ジャイロの計算をしてみる。3次元CADで慣性モーメントを計算する。回して回転数の減衰を測定する。こんなことを延々と繰り返す。ふと、なんでこんなに熱中しているのだろうとおかしくなる。現場の社員もコマどうしましょう?と頻繁に聞いてくる。会社全体が盛り上がる。

 

まさに、これこそコマ大戦が中小製造業に及ぼす効果なのだろう。前回大会でも多くのマスメディアに取り上げていただいたが、今回はさらにその数倍、数十倍の注目を浴びている。かつて、中小製造業が取り組んだイベントでここまで注目を集めたものは記憶にない。この大きなムーブメントは、多くの人にわれわれの業界への興味を抱かせ、若者の就職希望先にも影響を及ぼす可能性もあるだろう。

 

残された時間はあと3日。100個を超える試作の山を前に、まだ最終的なコマは製造中である。これで負けても納得というところまで力を出し切りたい。由紀精密のコマが回った瞬間、会場はどよめきが湧きおこるはずである。

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(日刊工業新聞 2月4日付オピニオン面に掲載)

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