1950年、私の祖父である大坪三郎が小さなねじを作る会社として大坪螺子製作所を創業しました。そこから60年以上にわたり、すばらしいお客様とともに金属切削加工業を営んでおります。
1990年、由紀精密の売上げは公衆電話のカードリーダー部品の製造によりピークを迎えたのち、海外での安価な部品製造、他の材質への置き換え、機構部品自体の減少により、どんどん減少していきます。
2001年、ITバブル崩壊による当時の主要生産品であった光ファイバーコネクタ部品の需要ストップにより、いよいよ危機を迎えます。その当時はまだ現在ほど普及していなかったインターネットでの営業活動で顧客開拓を行うことで多少は持ち直したものの、電気電子業界に偏っていた仕事はさらに減少していきます。
2006年、私は由紀精密に入社し、この現状にショックを受け、何をすればよいのか途方にくれました。そんな中でお客様アンケートをとってみてわかった事があります。お客様が由紀精密に仕事を出してくださる理由は、「品質」「信頼」だったのです。これは長年培ってきた会社の財産です。この品質・信頼が最大限に生かせる業界へ進出しようと心に決めました。以降、会社の武器である品質を守りつつ、航空業界、医療業界へと進出していきます。いただいた図面をもとに加工するだけではなく、自社で開発部門を持ち、設計から受注する仕事も増やしてきました。
毎日が挑戦の連続です。この挑戦により由紀精密は進化していくことができました。2014年現在では、旅客機から人工衛星、内視鏡から整形外科手術器具まで、航空宇宙・医療機器分野での売上げを大きく伸ばすことができています。
挑戦と進化の中にも、「品質」「信頼」という過去から受け継がれる普遍的価値を守る。ここに由紀精密の強みがあると感じております。 もうひとつ、由紀精密の社名の由来は、創業者の妻、「幸江(ゆきえ)」です。社名には幸せという意味が隠されています。由紀精密で働くすべての人が、「この会社で働けて幸せだ」と思ってもらえるように、由紀精密に仕事を依頼したすべてのお客様が、「よい仕事をしてもらえて幸せだ」と思っていただけるように、由紀精密の作るものが社会を幸せにできるように、そんな会社を目指し、日々前向きに、誠実に事業を進めていきたいと思います。