創業者である祖父との記憶はごくわずか、手を引かれて近くの養鶏場に卵を買いに行ったことくらいでしょうか。3歳の私は祖父の葬儀会場を一つ下の妹と三輪車で元気いっぱいに走り回っていたそうです。
父は大学卒業してすぐに由紀精密に入り、当時から入院していた祖父を手伝います。生まれたばかりの私は工作機械の音と油の匂いの中、母の背中で心地よく眠っていました。小さいころから自動車が大好きだった私は自然と機械に興味を持ち、大学も機械科へと進みます。
小さな製造業の経営ということを意識したのは、前職でのあるプロジェクトでした。
生まれてからずっと身近にあったはずなのにほとんど知らなかった由紀精密の姿が、急にリアリティをもって頭の中に浮かんできました。
2006年に由紀精密に転職し、現実に起こる様々な問題に直面します。
「壁は引き返すためのものではなく、超えるためのもの。」
小さな製造業のあるべき姿を模索し、夢を描き、常に前を向いて進んできました。
航空宇宙業界へのチャレンジ、開発部門の立ち上げ、フランス法人の設立。
最初は「こうなったらいいな」という漠然とした夢でも、アンテナを高くして小さなチャンスも逃さず、ひとつずつでもそこに向かっていく具体的方策を実行していくことで、確実に夢が現実に近づいてきます。
私たちのつくったものが多くの方々の笑顔につながる喜びを日々感じつつ、素晴らしいものづくりの世界に挑戦しつづけていきたいと思います。
「ものづくりの力で世界を幸せに」
代表取締役社長大坪 正人