ピュアオーディオ向けアナログプレーヤー「AP-0」の受注を開始

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精密部品加工、装置設計開発の株式会社由紀精密は、エンジニアリングの観点でゼロベースから自社設計したピュアオーディオ向けアナログプレーヤーを発売する。
従来から医療機器開発や人工衛星向けユニット開発を手掛けてきた由紀精密は、アナログプレーヤーとしての機械特性にこだわり抜いたプロダクトを誕生させるべく、機械設計エンジニア目線での設計を試みた。また製造においては、機械式時計、人工衛星や航空機のエンジン部品なども製造可能な自社工場の製造ラインで製造した。寸法はW560xH209xD353mm(突起部含む)、総重量は27.4kg。価格は200万円(※1)、6月10日(水)から専用ウェブサイトでの予約受付を予定している。受注数により変動するが、参考納期は3ヶ月。

専用サイト:http://audio-yukiseimitsu.com

オーディオメディアの変遷によりアナログプレーヤーはコア層のための精密機械装置へ
1980年代までは主要なオーディオメディアであったレコードだが、CDが発表されて以降、生産枚数は減少を辿り2010年時点で年間約10.5万枚程度まで落ち込んでいた。その後、ハイレゾブームの普及と合わせて音質の良さを追求するファンが増加し、2019年では世界で約121.9万枚が生産されるまでに至っている。(※2)レコード再生機であるアナログプレーヤーはシーンや用途に応じて様々な機種が販売されている。しかし共通して言えることは、スピーカーやアンプと比較し、オーディオ機器の中で最も精密機械装置としての性能が問われる機器という点である。ここに由紀精密の設計・製造のノウハウを注ぎ込んだ。

完成したアナログプレーヤー(開発コードAP0[エーピーゼロ])は、重量バランスの取れた削り出しプラッターを採用。軸受けはラジアル方向をマグネットで浮かせ、重量はセラミックスの点接触で受けている。これによりボールベアリングやすべり軸受けから発生するわずかな振動を排除した。回転時の無音化への工夫である。プラッターの回転モーメントを均等化するため駆動伝達にはシンメトリーレイアウトのケブラー製糸ドライブを使用。回転数は33 1/3、45、78が選択でき、それぞれに独立したピッチコントロールを設けている。
トーンアームもオリジナル設計とした。ストレートアームを採用し、内部にはアームの首振りに対し抵抗を発生させる独自設計のブレーキを備えている。これは音源情報をできるだけ正確にカンチレバーに伝える設計思想から来ている。トーンアームユニットは外観上一体に見えるが独立した筐体に格納しフローティングされており、振動の影響を受けにくい構造とした。
また、他社製トーンアームを選択したいユーザ向けには、奥のカバープレートを外せばセカンドアームを設置できるなど、効果的なスペース配分にも気を配った。このような設計の結果は意匠にも反映された。本体軸受け周辺には機器が存在しないため、正面から奥が抜けた外観となり、本機の意匠的な特徴となっている。目に触れる部分はほとんどが削りや曲げによる金属部品(アルミニウム・ステンレス等)で構成され、長期使用時の錆防止や絶縁用途のため適切な表面処理を選択し施している。

※1 税抜価格。カートリッジの付属はなし
※2 日本レコード協会:https://www.riaj.or.jp/f/data/annual/ar_anlg.html

専用サイト:http://audio-yukiseimitsu.com

本件に関するお問い合わせ先:
045-620-2555 (由紀精密技術開発事業部)
support@audio-yukiseimitsu.com