第97回『パリ航空ショー出展』

パリ航空ショー出展2013_07_01

ジュネーブでの時計部品の展示会が無事終了し、そのまま飛行機でパリへ向かった。次は2回目の出展となるパリ航空ショーである。2年に1度開催される、この世界最大級の航空宇宙関連の展示会に今年も展示する事ができた。

 

3年ほど前、どんなに小さい会社であってもグローバル企業になりたいという思いからはじまったフランス進出5カ年計画。どうせなら、最初から世界最大の舞台に出してみようというチャレンジで、2011年にパリ航空ショーに出展する事にした。そこから、パリに現地連絡所を作ったり、子会社を立ち上げる計画を進めたりと、順風満帆とは行かないが、計画は確実に進めている。  大胆と思えるこの計画も、同じ思いを持って、フランス進出を一緒に達成させようと考えている仲間の存在が大きい。CmonoC(茅ヶ崎ものづくりクラスター)の中の3社、シンクフォー、ダイショウ、永井機械製作所である。

 

1回目の航空ショーが終了し、1社で進めていくのは人員的にも資金的にも大変な負担が伴うと思っていた所、いつも近くにいて、経営相談もお互いにしている会社同士で、力を合わせる事になった。進出にかかる費用をできる範囲内で持ち寄り、海外での展示会が開催される時には経営者や社員が同行したり、先進国だけでなく、アジア方面に工場を見に行く機会があれば、その情報を共有したり、あらゆる面でグローバル化への良い仲間関係ができている。  今回の航空ショーも由紀精密の社員だけでなく、ダイショウから石塚裕社長、シンクフォーから5軸加工機を扱う田中健太さんが参加。活発な海外での動きは、5年前には想像できなかった。

 

今年の航空ショーは、全日程にわたり雨が多く天候には恵まれていなかった。しかし、昼の晴れ間を縫って、大型旅客機から小型プロペラ機が華麗に空を舞い、最新戦闘機が轟音を立てて展示会場の上を通過する。

 

この中で、前回もそうだったが、日本企業の展示は驚くほど少ない。三菱重工業のMRJは大きなブースを出していたが、それ以外はグループでの展示が数カ所と、とても国内総生産(GDP)世界第3位の国とは思えない。世界の中でもこれでは取り残されてしまう、という感じがした。
我々はその中でも、なんとか世界の顧客とつながろうと現実的な商談をどんどんこなした。  具体的な話があった案件で数十社に上る。この中で実際に何社とつながれるか、今後のフォローをしっかり行っていく必要がある。世界各国での展示、世界の航空関連メーカー、数年前なら夢の世界だったが、今ではもう手が届くところに確実に来ている。チャンスは自分で作るもの。数年後には世界中と普通に仕事をしている中小企業となっていたい。

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(日刊工業新聞 7月1日付オピニオン面に掲載)